***1998年11月改訂
**1998年1月改訂
*1997年3月改訂

日本薬局方チアマゾ-ル錠



抗甲状腺剤メルカゾール錠

MERCAZOLE Tablets


 日本標準商品分類番号872432
承認番号等(60AM)647(薬価塞準収載)

メルカゾールの成分チアマゾールは,甲状腺におけるホルモン合成の抑制剤として甲状腺機能瓦進症に対し,プロピルチオウラシル(PTU)とともに広く用いられている。

〔組   成〕

成分・含量
1錠中:チアマゾール---------5mg

〔効能・効果〕

甲状腺機能亢進症

〔用法・用量〕

チアマゾールとして,通常成人に対しては初期量1日30mgを3〜4回に分割経口投与する。症状が重症のときは,1日40〜60mgを使用する。機能亢進症状がほば消失したなら,1〜4週間ごとに漸減し,維持量1日5〜10mgを1〜2回に分割経口投与する。
通常小児に対しては初期量5歳以上〜10歳末満では1日10〜20mg,10歳以上〜15歳末満では1日20〜30mgを2〜4回に分割経口投与する。機能亢進症状がほぼ消失したなら,1〜4週間ごとに漸減し,維持量1日5〜10mgを1〜2回に分割経口投与する。通常妊婦に対しては初期量1日15〜30mgを3〜4回に分割経口投与する。梯能亢進症状がほぼ消失したなら,1〜4週間ごとに漸減し,維持量1日5〜10mgを1〜2回に分割経口投与する。正常妊娠時の甲状腺機能検査値を低下しないよう,2週間ごとに検査し,必要最低限量を投与する。なお,年齢,症状により適宜増減する。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)本剤に対し過敏症の既往歴のある患者

〔使用上の注意〕

1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

(1)肝障害のある患者[肝障害を悪化させるおそれがある。]
(2)中等度以上の白血球減少又は他の血液障害のある患者[白血球減少あるいは血液障害を悪化させるおそれがある。]

2.相互作用

併用注意(伴用に注意すること)

薬剤名等

臨床症状・措置方法

臨床症状・措置方法

クマリン系抗凝血剤

ワルファリンカリウム

併用開始時、中止時及び病態の変化に応じて血液凝固能が変化するので、血液凝固能検査値の変動に十分注意し、必要があれば抗凝血剤の用量調節を行う。 甲状腺機能が亢進すると凝固因子の合成・代謝完進により、相対的にクマリン系抗凝血剤の効果は増強する。本剤投与により甲状腺機能が正常化すると、増強されていたクマリン系抗凝血剤の効果が減弱するとの報告がある。

ジギタリス製剤

ジゴキシン等

併用開始時、中止時及び病態の変化に応じてジギタリス製剤の血中濃度が変動するので、血中濃度の変動に十分注意し、必要があればジギタリス製剤の用量調節を行う。 甲状腺機能亢進時には、代謝・排泄が促進されているため、ジギタリス製剤の血中濃度が正常時に比較して低下する。本剤投与により甲状腺横能が正常化すると、ジギタリス製剤の血中濃度が上昇するとの報告がある。

3.副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していないため、頻度は不明である。(再審査対象外)

(1)重大な副作用

1)無顆粒球症(頻度不明):無頼粒球症(初期症状:発熱、全身倦怠、咽頭痛等)があらわれることがあるので、無顆粒球症が疑われる場合には直ちに投与を中止し血液検査を行うこと。 無顆粒球症発生の場合には抗生物質及び副腎皮質ホルモンの投与等の適切な処置を行うこと。
 2)再生不良性質血、低プロトロンビン血症、第Z因子欠乏症、血小板減少性紫斑病、白血球減少症(頻度不明):再生不良性貧血、低プロトロンビン血症、第Z因子欠乏症、血小板減少性紫斑病、白血球減少症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合にほ投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
3)SLE様症状(頻度不明):SLE様症状(発熱、紅斑、筋肉痛、関節痛、リンパ節腫脹、脾腫等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
4)インスリン自己免疫症候群(頻度不明):インスリン自己免疫症候群(低血糖等)があらわれることがあるので、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
*5)問質性肺炎(頻度不明):発熱、咳蠍、呼吸困難、胸部]線異常等を伴う問質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。

(2)その他の副作用
以下のような副作用が認められた場合には、減量・休薬など適切な処置を行うこと。

 

頻度不明

肝  臓 肝障害
皮   膚 脱毛、色素沈着、掻痒感、紅斑等
消 化 器 悪心・嘔吐、下痢、食欲不振等
精神神経系 頭痛、めまい、末梢神経異常等
過 敏 症 発疹、蕁麻疹、発熱等
そ の 他 倦怠感、リンパ節腫脹、関節痛、筋肉痛、唾液腺肥大、浮腫、味覚減退
※1:

観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

※2:

このような場合には他の薬剤に切り換えること。症状が軽い場合は、抗ヒスタミン剤を併用し、経過を観察しながら慎重に投与すること。

4.高齢者への投与

 一般に高齢者では生理機能が低下しているので用量に注意すること。

5.妊婦、産婦、授乳婦等への投与

(1)妊娠中の投与に関する安全性は確立していないが、胎児に甲状腺腫、甲状腺機能抑制を起こすとの報告がある。
(2)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人にやむを得ず投与する場合には、定期的に甲状腺機能検査を実施し、甲状腺機能を適切に維持するよう投与量を調節すること。
(3)新生児に出生後しばらくは、甲状腺機能抑制、甲状腺機能亢進進があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。1998年11月改定
(4)妊娠中の投与により、新生児に頭皮欠損症などがあらわれたとの報告がある。1999年7月改定
(5)本剤投与中は授乳を避けさせることが望ましい。[ヒト母乳中へ移行(血清とほぼ同等レベル)し、乳児の甲状腺機能に影響を与えることがある。]

*6.通用上の注意

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重重篤な合併症を併発することが報告されている。

7.過量投与

甲状腺腫、甲状腺機能低下があらわれることがある。

〔薬効薬理〕

1.羊の甲状腺を用いた実験で,チアマゾールはヨードに対し強い競合阻害を示した。

2.乾燥甲状腺末投与による甲状腺機能亢進症ラットにチアマゾールを投与すると,基礎代謝亢進が著しく抑制される。

3.乾燥甲状腺末投与及び正常ラットの心臓homogenateのcyto−chrome酸化酵素、コハク酸脱水素酵素の活性は,チアマゾール投与により抑制されることから末梢組織の酸化機能も抑制すると報告されている。

〔体内薬物動態〕

ヒト11例に60mgを単回経口投与した結果,投与1時間後に平均血中濃度は92/μg/100mLと最高となり,24時間後に消失した。このときの24時間の尿中排泄は投与量の11.6%であった。

〔臨床適用〕
副作用
国内文献35報によれは732症例中83例(11.3%)に副作用が認められ.その内容は過敏症41件(5.60%),消火器症状14件(1..91%),白血球減少症23件く3.14%),無頼粒球症5件(0.68%),肝障害2件(0.27%)等であった。

〔非臨床試験〕

1.急性毒性LD50(mg/kg)

動 物

経 口

皮 下

マウス

860

345

ラット

2,250

-

2.亜急性毒性

1)ラットに0.1〜0.2g/kgを5週間経口投与し,血液所見を観察したところ,0.2gノkg投与群で赤血球,白血球,リンパ球,顆粒球の減少がみられた。
2)ウサギに0.025g/kgを8週間経口投与したが,体重減少,血液像等の変化はみられなかった。

3.吸収・分布・代謝・排泄

ラットに14C-チアマゾ-ル20mg/kgを経口,腹腔内,静脈内投与した結果,経口、腹腔内投与における吸収は同傾向を示し,特定組織への親和性は認められず,血漿蚤白結合率は5%であった。また,尿中排泄率は各投与経路で同傾向を示し,投与24時間後ではradioactivityの80%が排泄され,うち14〜21%が未変化で排泄された。主要代謝産物はグルクロナイド抱合体で,その量は投与量に対し尿中で36−48%,胆汁中で4%であった。

〔性   状〕

1.製剤の性状

白色糖衣錠

大 き さ

φ=8.3mm

厚   さ

4.6mm

外   観

表    裏    側面

中外コード

C−24A

総 重 量

約250mg

2.有効成分に関する理化学的知見
一般名:thiamazoie(INN)
化学名:1-methy-2-imidazolethiol
構  造: 
性  状:白色〜徽黄白色の結晶又は結晶性の粉末で,わずかに特異なにおがあり,味は苦い。
水又はエタノールに溶けやすく,エーテルに溶けにくい。
融点 144〜147℃

〔取り扱いの注意〕

貯   法:遮光した密閉容器,室温保存
使用期限:外装に表示

〔包   装〕

500錠(PTP包装),500錠(缶入りバラ包装)

〔主要文献〕
1)熊原雄一,他:治療、46(3):595(1964)
 2)大塚舜一,他:日本内分泌学会雑誌,46(9):1048(1970)
 3)上野高次,他:診療と新薬,2(6):647(1965)
 4)DeGroot,L.J.etal.:Endocrinology,70:492(1962)
 5)坪井 実,他:総合医学,14(12):1048 く1957)
 6)Pittman,∫.A.etal∴J.Clin.Endocr.Metab、,33:182(19
 7)Brock,N.etal.:Arzneim∴Forsch.,4(1):20(1954)
 8)Sitar,D.S.etal.:J.Pbarm.Exp.Ther.,184(2):432(1973)

9) 伊藤進, 他:第44回日本小児保健学会予行集, 580:(1997)

〔文敷請求先〕
 中外製薬株式舎社 医薬学術部
 〒104−8301東京都中央区京橋2−1−9


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